2011年7月5日火曜日

武漢の郊外のさらに外、となりまち黄石市

こんにちは、中国・武漢の山田将平です。

“武漢の”と書きつつ、今回は武漢ではなく、『黄石市』という武漢の隣町のお話をしたいと思います。
Wikipediaによれば黄石市は総人口255万人、市区人口67万人の中都市です。(武漢市は総人口970万人)
隣町と言っても、武漢からは東に100kmほど離れています。

なぜこんなところへ行ったかというと、この黄石市、偶然にもわが故郷岐阜県関市の姉妹都市なのです。
正直なところ武漢行きが決まるまでは、黄石市の存在さえ知らなかったのですが、絶望的な武漢行きを前にして「これも姉妹都市が結んだ何かの縁かもしれない」と、黄石市に勝手に親近感を抱いてきました。
現在、既に中国の大学は夏期休暇に入っているので、今回暇を活かして早速行ってきたというわけです。
武漢–黄石はこのバスに乗って約1時間半。

武漢から黄石までは、高速バスで35元、約1時間半道のりです。
意外にも速度80kmできっちり走るオンボロバスに揺られ、お尻が痛くなってくる頃には到着です。
私が利用したバスセンターでは日中20分毎、武漢–黄石間全体では、毎時5,6本はバスの本数があるのではないでしょうか。
さらに鉄道もあるので、広い中国でもやはり隣町との間には、多くの人の流動があるようです。
日本史の教科書に出てくる大冶鉄山があるのも黄石。市内では各地で山が掘られています。写真は長江沿いから。

黄石も湖の街です。武漢よりも日常と湖が近いようで、たくさんの太公望も。後ろは『MAILYARD』『美尔雅』の看板。

ひときわ目を引く巨大ビル(左)と体育館(右)。きれいで人が少ない、即ちゆとりがある、というのがこのまちの印象。

さて、バスを降り、黄石のまちなかに入った際の第一印象は”意外とふつう”。
ひどい田舎を想像して行ったのですが、良い意味で裏切られました。
もちろん中心街の規模や活気では武漢と比べようもないのですが、そんなところは武漢でも一部です。
ハレの場や機会はともかくとして、“老百姓(ラオバイシン=庶民)”の日常生活は武漢と大差ないと思われます。
黄石市政府前から。
道路、歩道は整備されており、武漢につきものの渋滞もありません。

また“黄石人”の外見や雰囲気から特に田舎臭さは感じません。
むしろ、やたらうるさく粗っぽい武漢人に比べればずいぶん安心感があります。
怒ってもいないのに怒鳴ったり、眉間に皺を寄せて「あ?」とやる”武漢人のふつう”は黄石ではふつうではないようです。
同じ気候風土なわけですから、このあたりは武漢人もぜひ…。

道路、歩道などのインフラも(田舎の割には)きれいに整っています。
そして、あろうことか、いや素晴らしいことに、道にゴミがあまり落ちていません。
武漢よりはるかに清潔、人も悪くない、インフラや物資もそれなり、娯楽や刺激さえ必要でなければ日本人でも案外住めるかもしれません。(決して私が住みたいわけではありませんが)
黄石の繁華街。
規模は小さいですが、武漢に比べればこれでもクリーンです。

繁華街その2。
武漢では、道にゴミが落ちていない、穴があいていない、当たり前がありません。
しかし黄石にはありました。

以上、黄石市をえらく良く書いてしまいましたが、あくまで”対武漢比”であること、たった一日いただけの印象であることにはよくよくご注意ください。

さて、前述のように、わが故郷関市とこの黄石市は姉妹都市です。
なぜこのような日本と中国の田舎町同士が姉妹都市なのでしょうか。
実はこれは、ある合弁企業がもたらした縁なのです。

黄石市に入ると、至る所で『MAILYARD』『美尔雅』というアパレルブランドの看板や広告を目にします。
これは、『湖北美尔雅股份有限公司』(上海株式市場600107)という現地企業のブランドなのですが、この企業と関市の『サンテイ』という企業は合弁関係にあります。
合弁が始まったのは、中国がここまでの発展を遂げるとは誰も思わなかった1985年です。
バス停の名前になっている『美尔雅』。左から4つ目。

この内陸の地方都市にとっては、恐らく初めてやってきた外資なのではないでしょうか。
中国の地方都市国営企業と日本の小さなまちの企業が改革開放間もない時期から協力を続け、一方は上場企業にまで発展したわけです。
現地で『美尔雅』の存在感の大きさを感じれば、両市が姉妹都市であることにとても納得がいきます。
『湖北美尔雅股份有限公司』のオフィス・工場。
なんと日の丸がはためいています。

さらにこの『美尔雅』、バス停の名前にもなっています。
いくら親近感を抱いているとはいえ、オフィス・工場まで訪ねるつもりはなかったのですが、バスで通りかかったので降りてみました。
『美尔雅』の街頭看板。特に狙って撮ったものではありません。
高速道路、まちなかなど各所に看板が出ています。

工場併設の店舗を訪ねると、日本円で1万円は下らない紳士用ポロシャツ、ワイシャツ、数万円はするスーツが並んでいました。
もちろん輸出もしていますが、店員さん曰く、特別に輸出向けというわけではないそうです。
私が店内にいる間にも、恰幅の良いおじさんがやってきて、その1万円を下らないポロシャツを買い求めていました。

”僻地”、”とんでもないところ”である武漢の郊外よりも、さらに”僻地”、”とんでもないところ”である黄石にもこのような需要と供給があったのです。

万が一、私が武漢にいるうちにスーツを新調することがあれば、たとえバスで数時間かかろうとも、ぜひここまで買いに来ようと思っています。


湖北美尔雅股份有限公司 http://www.mailyard.com.cn/
サンテイグループ http://santei.com/

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