日本では桜が見頃を迎えていると聞いています。
実は、武漢も中国の中では桜の名所となっています。
今回はもともと別の話題を採り上げる予定だったのですが、せっかくなので武漢の桜とそこからうかがえる武漢人の様子をご紹介します。
多くの人が花見に訪れる武漢大学 |
一つは前回の写真にもありました『武漢大学』、もう一つは『東湖桜花園』です。
まず、武漢大学には数百メートルにわたる立派な桜並木があります。
これは戦中に旧日本軍が植えたものだそうで、桜並木に並行する歴史的建造物(学生寮として現在も使用中)とともに見事な風景を作り出しています。
通常は、日本の大学と同じく誰でも大学構内に入ることができるのですが、桜の開花時期には入場料(10元)が必要です。
それでも驚くほど多くの人が桜見物に訪れています。
中国の大学生は基本的に大学構内で寮生活をしていますから、「いくら桜が綺麗でも、こう多くの人が来ては学生も気の毒だなぁ」などと余計な心配をしてしまいます。
次に、東湖桜花園です。
武漢には『東湖』という大きな湖があるのですが、そのほとりに東湖桜花園はあります。
東湖桜花園。奥は五重塔のレプリカ。 |
いつごろ開園したのかはわかりませんが、広大な敷地に咲く多くの桜に加え、日本庭園風の池、さらにはなぜか五重塔や鳥居のレプリカまであります。(なかなか忠実なレプリカです。よくある”パクり”という感じではありません。)
桜の本数ではこちらのほうが多そうで、またソメイヨシノ以外にも多くの種類の桜があります。
こちらも入場は有料で、しかも武漢の物価感覚では決して安くない(大人60元、学生・老人30元)のですが、それでも周辺道路が渋滞するほど多くの人が訪れます。
さて、その多くの見物客を観察していて気づくのがカメラです。
まず一眼レフを提げたおじさん。
これは、日本を訪れる中国人富裕層によって見慣れた光景かもしれません。
次に、高価なコンパクトカメラを手にする見た目は高校生くらいの若者。
いわゆる80后、90后(80年代、90年代生まれの一人っ子世代)と呼ばれる世代で、恐らく6つの財布(両親、祖父母)に買ってもらったのでしょう。
悔しいですが、私のカメラよりかなり高価なものを持っていました。
結婚記念の写真撮影をするカップル。 観光地などではよく見かける光景です。 |
少し話題は変わりますが、日本人のみなさんは桜から何を連想するでしょうか。
春、入学式、花見など様々かと思います。
では、中国人は桜から何を連想するのでしょうか。
意外にも『桜といえば日本の国花』と連想する人も少なくないようです。
桜になじみの深い我々日本人ですが、桜を見て日本の”国”を思い浮かべる人はどれだけいるでしょうか。
こちらでは中国人に何度か「桜はとても美しい、桜といえば日本の国花だね」と言われたことがあります。
最初は私へのお世辞だと思っていましたが、花見中に見知らぬ中国人同士が同じ台詞を口にしているのも耳にしました。
桜を見慣れた日本人としてハッとさせられた中国人の認識でした。
鳥居を意識した東湖桜花園の門。園内にも真っ赤な鳥居があります。 |
直接の被害はありませんでしたが、私にとっては武漢に来て早々、しかも日常の生活圏、徒歩圏で起こった大事件でした。
そのような街の人々が春には花見に大挙押し寄せる(日本軍が植えたもの、あるいは完全に日本を意識した公園であるにもかかわらずです。)のは、とても興味深い光景です。
もちろんすべての武漢人が反日的ではないですし、すべての花見客が桜から日本を連想するわけではないでしょう。
しかし、この桜と武漢人の関係は、”中国人の対日感情の本当のところ”を考える上では大きなヒントになるような気がしています。
同じく東湖桜花園。残念ながら撮影日には桜が散り始めていました。 |
最後に、先日の震災で被災された方々、またすべての日本の方々に、桜前線が希望と勇気をもたらすことを願っております。
0 件のコメント:
コメントを投稿