2011年6月27日月曜日

【中国雑誌】Harper's BAZAAR 时尚芭莎 7月号

日本では廃刊となってしまった「Harper's BAZAAR」ですが、中国では元気です。
今回は「Harper's BAZAAR 时尚芭莎」7月号を紹介します。

なお、原則として、巻頭から掲載されている順番でここでも紹介していきます。

中国ではビニールに入って雑誌が売られています。
左が本誌、右が付録誌です。
高級誌なので、巻頭から欧米系のコスメブランドの広告が目白押しですが、こんなところにSK-Ⅱが。こんな広告のすぐ後に、GUCCIの男っぽい広告が入っています。


GUCCIの香水ですが、メンズ誌向けのような広告
 これは、左に目次、右に広告というパターンですが、BMWの広告が同様のパターンで4ページ続きます。

これも上のBMWと同じパターンですが、左の広告は韓国系のアパレルブランドのもの。わからないときはWebで検索、という中国人にはアピールしやすい広告スタイルです。
もちろん、Webサイトもおしゃれでないとだめですが。http://www.tb2korea.com/index11ss.htm


そして、これはアムウェイの美白コスメの広告。結構あちこちの雑誌に出ていますが、「Harper's BAZAAR 时尚芭莎」では、左に耳がついており、目立つ上に、この広告ページが開きやすい形状になっています。



続いては、中国ブランドの見開き広告。

ルイ・ヴィトンをはじめとするバッグの特集ページです。
ブランドストーリーが説明されており、知らない人もこれを読めばなんとなくわかる、という記事です。

ハイ・ジュエラーの商品をこれでもか、というくらいに紹介するのが好きな中国雑誌のなかにあって、コスチューム・ジュエリーを特集しているのは珍しいです。



後程、紹介する別冊付録誌(一冊まるごとブランドストーリー)と連動していると思われる、左の広告。


香港政府によると思われる、セントラル(Central)にいらっしゃい広告。
中国人は、国内では多額の関税がかかっていることをよく知っているため、買い物は香港で、という人が少なくありません。
そのため中国政府は、3年以内に天津浜海新区に「免税島」を作って国内消費を増やそうという政策をとったり、関税を引き下げたり、ということをやり始めています。

ネイルアートの特集。よく見ると、日本では考えられない雑さがチラホラ。

「BOBBI BROWN」の広告です。全6Pにわたって紹介するもので、これは使用前・使用後の記事です。「BOBBI BROWN」を使ってもメイクテクニックがなければ・・・。

ヴィダル・サッスーンも女性誌に多くの広告を出しているブランドです。この広告は全4Pになります。

注目は左ページの審美歯科の広告です。この手の広告はまだ珍しいです。

資生堂の広告がやっと登場です。


ここからは、とても面白い記事です。
中国共産党結党90周年を記念して、ドラマか映画が制作されているようです。その登場人物と演じる俳優さんを紹介した特集記事が、なんと20Pも!

特集記事の最初の見開き

後半にある、登場人物とその年代を示したもの

そして、スタイリッシュな創作和食の店として日本でも人気の「NOBU北京」の紹介が4P。


これは、中国の風光明媚な場所を紹介するページのようですが、そこは「Harper's BAZAAR」らしい演出が。


そして、巻末近くには、各種イベントの開催情報が。
その中に、「D-Q」という資生堂の、中国ドラッグストア向け商品のお披露目があったという記事が、右上に見えます。香里奈のおかげかも。

以上、本誌で見つけた日系ブランド広告とPRは「SK-Ⅱ(微妙ですが)」「資生堂」「D-Q」でした。
コスメページにはニベアなどもあるので、もっと多くの日系ブランドが紹介されています。詳しくは本誌をご覧ください。

さて、ここからは別冊付録誌です。
まず、こちらは「通が選ぶブランド」の紹介といったところでしょうか。
高級万年筆などを作っている「カランダッシュ」やハイ・ジュエラーの「Van Cleef & Apels」などが紹介されています。
そしてこの別冊は、実はBMWがスポンサーとなっている模様です。

おそらくこれがBMWの車。

葉巻も紹介

そして、投資としての芸術品や骨董など。

こちらは第2別冊付録誌のブランドストーリー。「NE・TIGER」という中国ブランドのもの。伝統的な織りと刺繍技術に卓越したブランドのようです。


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2011年6月25日土曜日

いよいよ香港ファッションウィーク/春夏が開幕

こんにちは。エディター&スタイリストの近藤です。

さて、来月7月4日〜7日まで香港では春夏のファッション・ウィークが開催されます。
近年拡大が著しい中国マーケットにおいて、このフェアには世界各国のアパレル企業やバイヤーの来場数が年々増えてきており、より確かなビジネス商談の場として注目されています。
ちょうど1年前には過去最多である1,313の出展者が参加し、バイヤーにおいては23,272人が足を運んだそうです。

そこで前シーズン(2011年1月)私自身も訪れた同様のフェア&ワールドブティック香港(来月こちらは開催されません)を振り返ってみたいと思います。

まず驚いたのが、とにかく出展ブースの大きさ。
パリのトラノイやイタリアのピッティも大きな会場ですが、いやいや香港も負けてはいない。
しかも、香港のみならず中国本土、インド、マカオ、台湾といったアジア各国からエジプト、ギリシャ、レバノン、トルコなどさまざまな国が多種多少に混在しているのも興味深いところ。


日本からは経済産業省が推進する「tokyo eye」が参加。
こちらは近年パリやインド、上海でも日本ブランドの海外発信およびテストマーケティングを行っています。
今回はFUGAHUM、GUT'S DYNAMITE CABARETS、RIVORA、jieDa、sise、VANQUISなどの面々が登場。
体型や気候など地域に根ざした商品開発やリレーションシップなど、まだまだ課題はあるものの、ロシアやマレーシア、タイ、そして香港や台湾といった国のバイヤーからコンタクトを受けたブランドもあったようです。
あとCFDからも日本ブランド(jazzkatze、YUMA KOSHINOなど)が参加していました。
こちらの写真は、私もおすすめの「RIVORA(リヴォラ)」です。


またコレクション取材が主な私としては、大々的に開催されたHong Kong Fashion Extravaganzaが印象的でした。
日本からはKEITA MARUYAMAが参加し、冨永愛さんや山田優さんがランウェイを歩いて華を添えるという演出。
日本の四季の美しさを現代風にアレンジした作品が光っていました。


同じくHong Kong Fashion Extravaganzaに参加した各国デザイナーも紹介します。
韓国から参加したDoii Leeは、セント・マーチン出身でジョン・ガリアーノやアントニオ・マラスの元で経験を積んだ持ち主。
ガーリーなテキスタイルが得意なブランドです。


北京のAlex Wangは鋭いテーラリングとミニマル&クールなドレスを多く発表。
中国では現地セレブリティが彼の服をよく愛用しているそうです。


香港のBarney Chengは現地で最も成功したデザイナーの一人らしく、マギー・チャンやミッシェル・ヨーといった女優たちが顧客に名を連ねています。
このショーではゼ テンテンや陳 法拉といった芸能人もモデルとして参加していました。
ワールドブティック香港では黒をベースにしたクラシカルなクチュールを展開していたのですが、ショーではノマド的ゴージャス感を打ち出していた様子。


それから、次世代を担う若手デザイナーにも注目を。
アメリカの人気リアリティ番組『プロジェクトランウェイ』さながらのエンターテイメント性をもって開催されたのが、香港ヤングファッションデザイナーコンテスト。
そこで見事優勝したのが、こちらのCheng Yee Wah Eva。
“Fragments of the SKY”というテーマで、中国の伝統的なペーパーカッティングの手法を用いた3Dのような服が印象的でした。


『VOGUE china』のアンジェリカ編集長もお気に入りだったのが、同じくコンテストのparty+evening-wear groupでトップになったLi Tsz Lun Zoe。
クリムトへのオマージュを表現していて、ヌーディカラーにシフォンやオーガンジーで流れるような弧を描いていたり、プリーツでたっぷりボリュームをもたせたデザインコンシャスな作風がモード好きの心を掴んでいたようです。


それからコンテストとはまた別で、ユニークだったのがエジプトのSOUCHAというブランド。
エジプト国内に2店舗ショップがあるそうで、今後中国展開を見込んでの初参加。
中東諸国のセレブリティに顧客が多いとデザイナーの2人組み(喋ってみたらキュートなゲイカップルでした・笑)は豪語していましたが、、?
ほぼドレスばかりだったので東京では需要が難しそうですが、香港なら何とか?かもですね。



他にも数えきれないほどたくさんブランドがあり、新たな市場開拓や新人発掘など香港をベースにできそうなこと、発見が未知数にあります。
これから中国を視野にビジネス展開を考えたい、と思う方は一度このファッション・ウィークにおとずれてみるのもおすすめです。


●次回香港ファッション・ウィークの詳細はこちら

●ロンハーマン・リニューアルオープンパーティやヴィクトリア&アルバート博物館のYohji Yamamoto展など。
日々のトレンドチェックはこちらから。


ファッションエディター&スタイリスト
近藤陽子

Fashion editor & Stylist
Yoko Kondo
yokococo5118@gmail.com








2011年6月24日金曜日

H&M、次のコラボはVERSACE!

こんにちは、川原好恵です。
3日前、ホットなニュースがH&Mから届きました。
Karl Lagerfeld、Stella McCartney、Comme des Garcons、Jimmy Choo、
Lanvinと続いた、H&Mのデザイナーコラボレーション。
次のパートナーはVERSACEと発表したのです。


レディス約40型、メンズ約20型のほか、アクセサリーや
ホームコレクション(クッション、ベッドカバーなど)も発表。
11月17日より、世界各地のH&M約300店舗と、オンラインでの
販売を予定しています。

今回のコラボレーションについて、VERSACEのデザイナーである
ドナテラ・ヴェルサーチは、「これは私達にとって貴重な機会です。
多くのH&Mファンという新しい顧客に見てもらうことができるのです」
とインタビューで語っています。
今回のコラボコレクションでは、「VERSACEのアイコニックな過去の
デザインを選び、VERSACEのアイコニックな時代を見せる」という
発言を聞くと、その期待度は高まるばかり。

「VERSACEのアイコニックな時代」とは?
1990年代前半のスーパーモデルブームを体験している私としては、
あのグラマラスな時代を思い出さずにはいられません。
一目でVERSACEとわかる 、どぎつさギリギリのカラフルなプリント、
カーヴィーボディにはりつくようなシルエットのレザーワンピース、
新しいセクシーの概念を示すようなスタッズ使い・・・。
どれもが、その名の通り、猫のような足取りでキャットウォークする
スーパーモデルの映像と共に蘇ります。

そんな「過去」と「今」を融合したハイブリッドなコレクションの一部が
こちらです。






今回のH&Mとのコラボアイテムを、
とても気に入ったドナテラ・ヴェルサーチは、
先日行われたメンズコレクションのステージで、その一つを着用して
フィナーレに登場しました。
ゴールドのスタッズが埋め込まれた、スーパーセクシーなワンピースは
11月に発売される物。



パーティシーンにぴったりのアイテムがラインナップしているようですが、
今回も、これまでのコラボコレクションのように、長い行列ができ、
一瞬のうちに完売してしまうのでしょうね・・・。

ドナテラ・ヴェルサーチとH&Mクリエイティブアドバイザー、
マーガレッタ・ファン・デン・ボッシュのインタビューは
YouTubeでも見られます。
http://www.youtube.com/watch?v=Ym_FEMDYiK8

2011年6月23日木曜日

中国内陸都市郊外の姿・武漢光谷エリア

こんにちは、中国・武漢の山田将平です。
大陸に梅雨はない、と勝手に思い込んでいたのですが、残念ながら長江流域にはあるらしく連日雨が続いています。
それどころか中国中部一帯が水害に見舞われており、武漢でも長江沿いの市街地で浸水被害が起こっているようです。

ただ、中国では今夏、旱魃による水不足と種々の事情による電力不足が二大問題だったので、ある意味では恵みの雨になっているのかもしれません
(水害については雨量よりも排水能力にも問題大ありでは?と思っているのですが…)

と、まるで他人事のように書いていますが、私にとっては本当に他人事なのです。
なぜなら私がいるのは、武漢の中でも長江から20km弱、バスに乗れば1時間は離れた郊外です。
大雨は降りましたが、長江沿いの水害はニュースや人づてで聞く程度で、被害は全くありません。

さて、ここで「中国内陸都市のさらに郊外なんてとんでもないところでは?」と思われる方もおられるかもしれません。
事実、私もそう思っていましたし、当初絶望的な気持ちを抱きつつこの地へやってきたことを今でもはっきり覚えています。
しかし、実際に来てみると意外にも(そして幸運にも)大開発が進められていました。
日本で想像する“中国の内陸都市の郊外”とはかなり異なる姿があったのです。

相変わらず前置きが長くなりましたが、武漢の東部に『光谷』という地域があります。
中国の中央政府が科学技術やIT企業の集積を目指している開発区で、私もここにある大学に住んでいます。
『光谷』という名前、シリコンバレーを真似たものらしく、英語では『Optics Valley』、日本語では『光バレー』と呼んでほしいようです。
まあ、『光谷』を『光バレー』と読むのはなかなか無理も感じるのですが、日本でも『渋谷』を『ビットバレー』と呼ぶこともあったわけですから、このあたりはどうか大目に見てあげてください。

この光谷、“科学技術とIT企業の集積”という点では工業団地なのですが、日本のいわゆる工業団地とはかなり様相が違います。
企業はもちろん誘致しつつも、“企業集積を軸とした都市開発”のような形でオフィスだけでなく高層マンション、商業施設も多種多様な施設が次々と建設されています。
(ひねくれた見方をすれば、ビジョンが見えないとも映るのですが…)

例を挙げますと、下の写真にあるのが、この光谷地域の表玄関、光谷広場と呼ばれる場所です。





大きなロータリーの周囲に巨大ショッピングモール、高級ホテルなどが立ち並んでおり、今なお開発・拡大中です。
前回ご紹介したハニーズもこのエリアに2店舗あります。
上述の私が絶望的な気持ちで武漢にやってきた際には、このエリアを目にして、「意外と住めるかもしれない」と希望を抱かせてくれました。
もちろんケチをつければキリがないのですが、このエリアが徒歩圏にあるおかげで、それなりに文化的な生活をさせてもらっています。

ちなみに、昨年秋に武漢で反日デモがあったのもまさにここ光谷広場です。
示威運動であるはずのデモが中心街ではなく、わざわざ郊外のここで行われたということからも、この地域が単なる町外れではないということを表しているのではないでしょうか。

次の写真はソフトウェアパークと呼ばれるエリアです。




池を囲んで建ち並んでいるのは、オフィスビル、マンション、ホテル、レストランなどです。
入居企業の詳細まではわかりませんが、写真にもHP(ヒューレット・パッカード)のロゴが写っているように、外資系企業も少なくないと聞いていますし、日系企業も入居しています。
ソフトウェアパークといえばIT企業集積、工業団地そのものですが、これもあくまでも開発区全体の一部です。

さて、光谷広場とソフトウェアパークを並べてしまいましたが、実はこの2カ所はかなり離れています
仮に歩いたとすれば軽く1時間以上はかかるはずです。
さらに、光谷広場とソフトウェアパークの間にも、そして向こう側でも開発が繰り広げられています。
目覚ましい発展を遂げる中国の中では、この光谷程度の開発・発展は取るに足らないものでしょう。
しかし、ここは“内陸地方都市・武漢”の“郊外”という辺鄙な場所です。
このような僻地で実は大開発と急発展が起こっている、という現実はあまり日本に伝わっていないのではないでしょうか。

広い中国には相当な数の開発区があるはずです。
光谷がその典型なのかはわかりませんが、中国の開発区の一例として、また郊外開発の一例として、機会があれば引き続き調査・ご紹介していきたいと思います。
とにかく広い、そして多様(雑多?)な開発区の中では、光谷広場もソフトウェアパークもごくごく一部です。
私も知らないような場所がまだまだあるはずです。

光谷(光バレー)現地政府公式サイト(日本語) 
http://jp.wehdz.gov.cn/structure/index