2011年4月27日水曜日

武漢の交通事情 路線バス編

こんにちは、中国・武漢の山田です。

前回まで、『桜』、『新天地』とご紹介してきました。
しかし、私に言わせれば、これらは、”化粧をした武漢”ということになります。
もちろんこれも武漢には違いないのですが、やはり街をより深く理解するためには”普段着”を知ることが不可欠ではないでしょうか。

そこで今回はまず武漢の路線バス事情についてご紹介します。
武漢では公共交通手段は依然として路線バスがメインです。
地下鉄(高架を走っていますが)も一路線だけあるにはありますが、今のところバスの比ではありません。(目下建設中の地下鉄については、また後日お話しします。)

さて、日本ではしばしば『中国人は並ぶことができない』と、冗談半分で言われます。
では、『中国人は並ぶことができない』のは、都市伝説なのでしょうか?
少なくとも武漢については、答えはNoです。真実です。

まず、写真1をご覧下さい。
写真1

私の住む場所から最寄りのバス停の乗車風景です。
人はそれほど多くないのですが、並んでいないのはわかります。
ただ、この程度の人数では並ばなくても問題ありませんし、日本でもあり得るかもしれません。

では次の写真2、3、4をご覧下さい。

写真2
写真3
写真4

人数が増えるとこのようになります。
日本のような時刻表はありませんから、バスの運転間隔が開くことも珍しくありません。(なぜか同一路線のバスが連なってくることも珍しくないのですが。)
当然バス待ちの人数は多くなり、ひとたびバスが来ると一斉にダッシュ、そしてこのような大混雑になります。

しかし、人の多い中国です。
我先に乗車しないと座席はおろか積み残されるのかもしれません。
では、写真5で実際の車内の様子をご覧下さい。(すみません、少しぼやけています。)
これは出発直前のバス車内です。
確かに座席は埋まっていますが、急いで乗らなければいけないほど混雑はしていません。
写真5


写真のケースとは別に、私も以前、人ごみを突き飛ばし突き飛ばされつつ乗車したことがあります。
そのときもやはり、車内には座席がまだまだたくさん残っていました。
また、入り口が大混雑しているので、全体として必要以上に乗車時間がかかります。
この点で武漢のバスは、経済学用語の『合成の誤謬*』のすばらしい実例だと感じています。

一方で、私は普段から武漢人のマナー、モラルには首を傾げつづけているのですが、バス乗車に関しては、彼らの心理が一部わかる気もします。

写真5をご覧下さい。
写真2、3、4、5は乗車時大混雑、車内は余裕というケースでしたが、写真6のようなケースにも日常的に遭遇します。
写真6

私も運転席横の料金箱にしがみついて乗ったことが何度もあります。
このような場合、積み残しも発生するので、「バスが来たら走る、そして我れ先に乗る」は、武漢人にとって鉄則なのかもしれません。

さらに、乗りたいバスがやってきても、それがバス停のどこに停まるかは、来てみないとわかりません。
数十メートルはある長いバス停の”どこか”にバスは停まります。
そして、そのバスは乗客を待ってくれません。
走るなど、乗車する意思を見せなければ発車してしまいます。(意思を見せても発車することもありますが。)
また、バス停が先着のバスで渋滞している場合、停車せずそのまま通過してしまうこともあります。
北京や上海などの地下鉄では、整列乗車が盛んに啓蒙されています。
しかし、武漢のバスはどこに停まるのかわかりませんから、啓蒙の仕様もないのかもしれません。

武漢人のマナー、モラルは中国の他都市と比較してもお世辞にも良いとは言えないのですが、バス乗車時の混乱は、武漢人だけでなくバスの運営側にも原因があるのでしょう。
ただし、おそらく運営側も武漢人なのですが。

少なくとも私にとって、このまちの交通は、”武漢を感じさせられる”大きな要素の一つです。
武漢の交通事情については、今後も引き続きお伝えしていきたいと思います。

*”合成の誤謬” Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%88%E6%88%90%E3%81%AE%E8%AA%A4%E8%AC%AC

0 件のコメント:

コメントを投稿