2011年6月23日木曜日

中国内陸都市郊外の姿・武漢光谷エリア

こんにちは、中国・武漢の山田将平です。
大陸に梅雨はない、と勝手に思い込んでいたのですが、残念ながら長江流域にはあるらしく連日雨が続いています。
それどころか中国中部一帯が水害に見舞われており、武漢でも長江沿いの市街地で浸水被害が起こっているようです。

ただ、中国では今夏、旱魃による水不足と種々の事情による電力不足が二大問題だったので、ある意味では恵みの雨になっているのかもしれません
(水害については雨量よりも排水能力にも問題大ありでは?と思っているのですが…)

と、まるで他人事のように書いていますが、私にとっては本当に他人事なのです。
なぜなら私がいるのは、武漢の中でも長江から20km弱、バスに乗れば1時間は離れた郊外です。
大雨は降りましたが、長江沿いの水害はニュースや人づてで聞く程度で、被害は全くありません。

さて、ここで「中国内陸都市のさらに郊外なんてとんでもないところでは?」と思われる方もおられるかもしれません。
事実、私もそう思っていましたし、当初絶望的な気持ちを抱きつつこの地へやってきたことを今でもはっきり覚えています。
しかし、実際に来てみると意外にも(そして幸運にも)大開発が進められていました。
日本で想像する“中国の内陸都市の郊外”とはかなり異なる姿があったのです。

相変わらず前置きが長くなりましたが、武漢の東部に『光谷』という地域があります。
中国の中央政府が科学技術やIT企業の集積を目指している開発区で、私もここにある大学に住んでいます。
『光谷』という名前、シリコンバレーを真似たものらしく、英語では『Optics Valley』、日本語では『光バレー』と呼んでほしいようです。
まあ、『光谷』を『光バレー』と読むのはなかなか無理も感じるのですが、日本でも『渋谷』を『ビットバレー』と呼ぶこともあったわけですから、このあたりはどうか大目に見てあげてください。

この光谷、“科学技術とIT企業の集積”という点では工業団地なのですが、日本のいわゆる工業団地とはかなり様相が違います。
企業はもちろん誘致しつつも、“企業集積を軸とした都市開発”のような形でオフィスだけでなく高層マンション、商業施設も多種多様な施設が次々と建設されています。
(ひねくれた見方をすれば、ビジョンが見えないとも映るのですが…)

例を挙げますと、下の写真にあるのが、この光谷地域の表玄関、光谷広場と呼ばれる場所です。





大きなロータリーの周囲に巨大ショッピングモール、高級ホテルなどが立ち並んでおり、今なお開発・拡大中です。
前回ご紹介したハニーズもこのエリアに2店舗あります。
上述の私が絶望的な気持ちで武漢にやってきた際には、このエリアを目にして、「意外と住めるかもしれない」と希望を抱かせてくれました。
もちろんケチをつければキリがないのですが、このエリアが徒歩圏にあるおかげで、それなりに文化的な生活をさせてもらっています。

ちなみに、昨年秋に武漢で反日デモがあったのもまさにここ光谷広場です。
示威運動であるはずのデモが中心街ではなく、わざわざ郊外のここで行われたということからも、この地域が単なる町外れではないということを表しているのではないでしょうか。

次の写真はソフトウェアパークと呼ばれるエリアです。




池を囲んで建ち並んでいるのは、オフィスビル、マンション、ホテル、レストランなどです。
入居企業の詳細まではわかりませんが、写真にもHP(ヒューレット・パッカード)のロゴが写っているように、外資系企業も少なくないと聞いていますし、日系企業も入居しています。
ソフトウェアパークといえばIT企業集積、工業団地そのものですが、これもあくまでも開発区全体の一部です。

さて、光谷広場とソフトウェアパークを並べてしまいましたが、実はこの2カ所はかなり離れています
仮に歩いたとすれば軽く1時間以上はかかるはずです。
さらに、光谷広場とソフトウェアパークの間にも、そして向こう側でも開発が繰り広げられています。
目覚ましい発展を遂げる中国の中では、この光谷程度の開発・発展は取るに足らないものでしょう。
しかし、ここは“内陸地方都市・武漢”の“郊外”という辺鄙な場所です。
このような僻地で実は大開発と急発展が起こっている、という現実はあまり日本に伝わっていないのではないでしょうか。

広い中国には相当な数の開発区があるはずです。
光谷がその典型なのかはわかりませんが、中国の開発区の一例として、また郊外開発の一例として、機会があれば引き続き調査・ご紹介していきたいと思います。
とにかく広い、そして多様(雑多?)な開発区の中では、光谷広場もソフトウェアパークもごくごく一部です。
私も知らないような場所がまだまだあるはずです。

光谷(光バレー)現地政府公式サイト(日本語) 
http://jp.wehdz.gov.cn/structure/index

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