2011年7月22日金曜日

日本、トップ10落ちの衝撃

こんにちは、川原好恵です。

なでしこシャパンが女子ワールドカップ優勝を決めて、
まだ興奮冷めやらぬとき、「日本、トップ10落ち」という
衝撃的なニュースが入ってきました。

私が7年前から取材を続けている、
世界一の規模とクオリティを誇るランジェリーのトレードショー
「モードシティ」(パリでの開催)の国別入場者数のことです。
今年は7月9〜11日に開催され、先日、ファイナルレポートとして
国別入場者数とランキングが発表されたのです。


「とうとう、トップ10落ちしゃった……」というのが、
私の正直な感想。
今、自分が書いた2005年、2006年頃の記事を読み返したところ
毎年、日本からの入場者は微増・微減を繰り返しながらも
「ヨーロッパ各国、米国に続いて第6位」と書いています。
それがジリジリとランクを下げ、昨年は10位にダウン、
そしてとうとう、今年はトップ10落ちとなったわけです(涙)。
昨年が10位だったことを考えると、「震災があったから……」
という言い訳は通用しないようです。





では、その変わりにどの国が浮上したのか?
いうまでもなく、香港(5位)、中国(8位)、ロシア(9位)です。
この数字、現在のファッション業界の構造を如実に表していますよね。
その現状は各経済紙や業界紙が常にレポートしているので、
ご存知のことと思いますが、
世界中から人が集まる見本市に行くと、
その実態を身をもって知ることになります。

例えば、私の場合……
「モードシティ」では、トレンドセミナーや業界のリーダー達による
トークセッションが行われるのですが、おもにフランス語なので
英語、イタリア語、スペイン語、そして日本語の通訳が入っていたのです。
それが数年前、日本語の通訳がなくなり、中国語とロシア語の通訳が
増えたのです。
主催者の目は、もう日本に向いていないんだな、
とはっきりと感じた瞬間でした。

また、私の友人が昨年、時計の国際見本市「バーゼルワールド」に
PRの仕事で行ったときのこと。
「取材・商談のためのテーブルが日本には1つしか準備されていないのに、
中国には3つ用意されていた。市場の力の差を目の当たりにした」
と言っていました。それが現実なのです。

日本人は、お世話になった人を敬うとか、それまでの付き合いを大切に
するとか、いわゆる義理人情を大切にします。
私自身は日本人のそういった気質が大好き。
でも市場は、あからさまに利益のあるところに意識も体もお金も向けます。
それを自分の身をもって感じたとき、痛烈に「敗北感」のようなものを
感じてしまいます。
でも、センチメンタルな気分に浸っているヒマはありません。
今まで大切にしてきたものを守りながらも、
利益を生む市場にコミットしていかなければならないのです。
私も今、その方法を模索中です。

そうそう、なでしこジャパン優勝のあとに、コピーライターの
糸井重里氏が
「<ちいさくて、フェアプレイで、 笑ってる、おんなたち。>
この先の日本の生き方の見本が、ここにあったように思う。」
と書いていました。さすがです!

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